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パパのお洗濯

パパノミカタ パパのイラスト

パパの得意分野に!
パパによるパパのためのお洗濯セミナー

子どもがいる家庭の洗濯は重労働。量はハンパないし、細かいものが多いので、干すのもたたむのも大変です。

そこでパパの出番です。パパにしてもらってうれしかったことランキングでは「家事」がトップという結果に。パパが洗濯を引き受けてくれたらママはきっと大喜びです。

とはいえ、ただ洗濯機を回せば洗濯上手になるというものではありません。お洗濯を上手にするにはいくつかのコツがありました。段階に応じたポイントを、自らも子育て中のパパである、石原クリーニングの金須壮央さんに伺いました。

金須さんとお嬢さんの写真

金須 壮央(きんす もりひさ)さん

横浜市内でクリーニング店を経営。シミ抜きのスペシャリスト。

「まち探検」で来訪した地元の小学生を対象にドライクリーニングのワークショップを開催したり、SNSでシミ抜きのコツを公開したりするなど、お洗濯やシミ抜きの知識を楽しく分かりやすく伝える活動も行っています。

1男2女のパパ。

パパさん、お洗濯していますか?

お洗濯はママの方が上手だから自分あまり…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそんなことは決してありません。
「お洗濯は苦手」とか、「アイロンがけが面倒」と悩みを打ち明けたり、「こんな失敗をしてしまったけど、どうしたら良いかしら」と私たちのところへ相談に来られるママも結構いるんですよ。

お洗濯に苦手意識を持っているパパのみなさん、何も難しいことはありません。ポイントさえ押さえればお洗濯はグッと身近で楽しいものになります。何より、率先してお洗濯すればママの目がハートになるのでおススメですよ!

お洗濯のポイント メニュー

ポイント1

失敗しないお洗濯

何事もそうですが失敗は嫌ですよね。そこで、まずは失敗しないポイントをお伝えします。

ポケットのチェック

普段のお洗濯の失敗でありがちなのが、ポケットの中に物を入れっぱなしにして洗濯機で回してしまう事です。
お子さまですとクレヨン、スライム、大人でもペンなどがポケットに入っていたら…大惨事になります。
洗う前にしっかりチェックしましょう。

色移りの防止

    青いシャツにピンクの色がまだらに移ってしまった洗濯物のイメージ

衣類の色の差(濃淡)がはっきりしたものをなるべく一緒に洗わないこともポイント。
真っ白なブラウスと濃いインディゴブルーのデニムを同時に洗えば、白いブラウスにデニムの青い染料が移染してしまうことがあります。他の衣類から流れ出た染料によって一度でも染まってしまうと、それはプリント柄と同じで取り除くことは非常に困難になります。
しかし、全ての衣類で、そうした色の流出が起こるわけではありません。そこは、ママの今までの経験に頼りましょう。新品で、これが初洗い、というお洋服は別として、今まで普通に洗っていて何も問題が起きなかったものをあえて「色の濃淡で仕分け」する必要はありません。
初めのうちは、同時に洗えるものかをママに確認しながらお洗濯するとよいでしょう。

裏返しやめくれのチェック

お洒落着でスレや色落ちを避けるためにわざと裏返して洗うものは別として、裏返しやめくれ等がないか確認しましょう。

靴下が脱ぎっぱなしでひっくり返っていると、汚れた部分を内側に閉じこめてしまうので当然落ちにくくなります。また、左右の靴下が揃っていないと洗い終えても使えませんから、ペアがあるかどうかの確認も一緒に行いましょう。
袖口やズボンのすそがめくれていると水が生地を通過できないのでうまくすすげず、洗剤やホコリが溜まってしまいます。
実際にそういう経験をすると、「靴下は脱いだら綺麗に伸ばしてからネットに入れておこう」とか、「汚れがひどい時にはお風呂で子どもと一緒に下洗いしよう」など、家族でどうしたらよいか話題になるでしょう。

洗濯機の確認

準備完了、さぁ、お洗濯開始!と思っても、洗濯機の操作方法が分からなくてはお洗濯ができません。洗濯機の操作方法や洗剤の入れ方なども確認しておきましょう。
また、ダストフィルターをこまめに掃除することもポイントです。衣類から出る細かい繊維ゴミやホコリを取り除いてくれるのでお洗濯後の衣類がスッキリしますよ。

子どものお手伝いポイント

   
    金須さんとご家族   

お子さまと一緒にポケットの中に「何か入っているかな?」と点検。何も入っていなければ「綺麗だね」、「偉いね」と褒めてあげてください。
パパも大事なもの(お金?)が出てきてラッキーなんてこともきっとあって楽しいと思います。

靴下が裏返っていないか、ズボンのすそやシャツの袖がめくれていないか、そのチェックもぜひお子さまとご一緒に。上手に脱げていたらこちらも褒めてあげてください。

この機会に、お子さまが洗濯ドラムに入らないなどの事故防止機能をお互いに確認し合うのもよいでしょう。

ポイント2

ケアラベルと洗濯表示アプリの活用

ポイント1の続きになりますが、何度も洗ったことのあるお洋服については何か別の物が洗濯機の中に誤って混入しない限り失敗しません。しかし初めて洗うものについてはどうしても慎重になります。
パパもママも初めて洗う時は経験値が無いわけですから当たり前ですよね。

ケアラベルとは?

そんな時に役に立つのがケアラベル(洗濯表示)です。
新しいお洋服を初めて洗うときは、まずはここに記載されている内容をよく読んでみましょう。
ケアラベルはお料理でいうレシピ、とまではいきませんが、お洋服やお洗濯に関する様々なヒントが記されています。
そのお洋服がどんな素材で作られているのか、ご家庭で洗えるものなのか、プロに任せた方がよいのか。素材によって劣化しやすいもの(例えばポリウレタンなど)が使用されていれば、伸縮が無くなる、剥離が起こりうる、などが明記されています。
ケアラベルを見れば、そのお洋服の性格を知ることができ、上手にお付き合いができるようになります。

ケアラベルのサンプル

洗濯表示アプリ

ラベルに解らない記号が出てきたら「洗濯表示アプリ」の出番です。このアプリを使えば簡単に表示の意味が理解できますし、アプリによってはお家での洗濯が可能かどうかの判別まで行ってくれます。
現在のISO(新JIS規格)表記だけでなくこれまでの旧JIS規格(2016.12.1より新JISが適用)の表記も載っているので是非チェックしてみてください。「洗濯表示アプリ」はインターネットで簡単に検索することができます。

ドライクリーニングとは?

ケアラベルを見る習慣ができてくると「DRYCLEANING ONLY」または「水洗いは不可でドライクリーニング可」という表示が結構ある事に気付きます。ここで言う「ドライクリーニング」とは、水ではない特殊な溶剤を使う洗い方で、設備がないと不可能。つまり、プロ仕様ということです。
これはお家の洗濯機のドライコースとは違いますので十分注意してください。

お家にある洗濯機のドライコースは、簡単に言えば機械力(たたき効果)と絞りがとても弱い「超弱洗い」と思ってください。

本来のドライクリーニングの特徴を簡単に言うと「型崩れしない」ことです。
それを試すために小学生と一緒にこんな実験をしたことがあります。

  1. 2つの瓶を用意し、1つに水、もう1つにはドライクリーニング溶剤を入れる。
  2. 小さくしたトイレットペーパーをそれぞれの瓶に入れてフタをする。
  3. 瓶を思いっきり振る。
結果は、水を入れた瓶はトイレットペーパーの形がなくなってしまったのに、ドライクリーニング溶剤の瓶のトイレットペーパーは形が崩れませんでした。凄いですよね。
このような特性があるので、プリーツラインがあるものや非常にデリケートなものも洗えるのです。

ポイント3

使っている洗剤を知る

現在販売されているどのメーカーの洗剤も、洗浄力と安全性とが両立するよう研究されています。そのおかげで私たちは失敗する事なく安心して日々のお洗濯ができるわけで、優劣はほとんど無いと言ってよいと思います。

ただ、液性だけで判断するならば中性よりもアルカリ性の方が、また温度では低温よりも高温の方が洗浄能力は上がります。しかしその分、失敗するリスクも高まります。
高温になれば色の流出が起きやすくなりますし、アルカリ度が上がれば動物繊維を溶かしてしまいます。
また、石鹸を含む弱アルカリ性の洗剤は粉末タイプのものが多く、あまり水温が低いと溶け残ってしまうこともあります。そのような時は、お風呂のお湯を使うのも一つの方法です。

ケアラベルを見ていると、中性とか低温など洗剤の液性をコントロールするよう書かれていることに気付くと思います。
では、現在お家で使用している洗剤が一体どんな成分なのか確認してみましょう。

蛍光増白剤入りの洗剤

成分の中に蛍光増白剤が入っているものは、白い染料が含まれているということです。白ものを洗うには適していますが、濃色ものを洗うのは避けた方がよいでしょう。

石鹸

石鹸は化学物質が少ないため、肌の弱い方や小さなお子さまのいるご家庭にぜひお試しいただきたいです。シンプルな構造のため排水後の分解も早く、環境への負担軽減も期待できます。

ポイント4

干す(乾燥)

洗い終わった後にお洗濯物を干すのにもポイントがいろいろあります。

    太いパイプにタオルを巻いて乾かしている   
  • 洗濯後はなるべく早く干しましょう。濡れたまま放置しておくと、色の流出が起きやすくなります。
  • 大人は干す時に完成型(仕上げ)を意識して出来るだけ形を整えて干しましょう。丸まったお団子の状態ですと乾きが遅く、余計な深いシワがいくつもついてしまいます。
    上手に干せばアイロンがけ不要!ということも十分あり得ますし、アイロンがけが必要な場合でも手間が少なくて済みます。
    ただしニットや薄手のものは要注意。引っ張ってしまうと伸びて戻らなくなったり切れたりすることがあります。
  • セーターやトレーナーなど、お洋服によっては水を含むととても重くなるものがあります。こういったものはピンチや肩に厚みの無いハンガーではツノが出たり、首回りが伸びたりします。
    その場合は下記のように干してみてください(写真)。
    1. 物干し竿や太いパイプにタオルを巻く
    2. 手前と向こう側にパイプを挟むようにして干す
    よく伸ばした方がよいものもあれば、なるべく伸ばさないようにしなければならないものもあるので気を付けましょう。

子どものお手伝いポイント

洗濯物を干す

お子さまと一緒に洗濯物を干してみましょう。
お子さま用に小さめのピンチハンガーを用意して、子どもでも手の届くよう低い位置に吊るします。そしてピンチもバネが柔らかく、つまみやすいものが用意できたらなおよいですね。このように自分のものは自分で干せるように工夫してあげます。

どうしたらピンチハンガーが傾かないように吊るせるのか、ママが審判になって子どもとパパのどちらが水平に近いかを競いながらゲーム感覚で干すなんていうのはいかがでしょうか。

乾いた洗濯物を外す

乾いたらピンチから外しますが、これもパパがやっていればお子さまも同じように自分でやりたいと思うはずです。
子ども専用のピンチを使えば自分のお洋服がわかるので、たくさんの洗濯物の中から選ぶ場合でも、お子さまも戸惑うことなく外すことができると思います。

ポイント5

仕上げ

ピンチハンガーから洗濯物を取り外したら、たたんでお片づけです。

たたむ

ぜひ、お子さまと一緒にやってみてください。
日ごろ保育園などで自分のお洋服をたたんでいる子もいると思いますので、パパは手際の良さに驚くかもしれません。

アイロンがけ

洗いっぱなしではもの足りない、もう少しシャキッとキチンと仕上げたいときにはアイロンの出番です。
アイロンをかける前に、まずはちょっとだけ聞いてください。

パパノミカタ 子どものイラスト

クリーニング業界には「火熨斗(ひのし)より手のし」という言葉があります。火熨斗(ひのし)は昔のシワ伸ばしの道具。それが進化したものが今の電気アイロンです。つまり「シワはアイロンよりも、まず手で伸ばすのが大事」という意味です。

プロのアイロン職人さんを見ているとわかりますが、アイロン台に衣類を置いたと思ったら、手で素早く綺麗に形を作ります。一回で形が出せない時は、シャツならば袖という具合にパーツごとに整えて置きます。
この時点でもうすでに大きなシワはほとんど無くなり、あとは霧もしくは蒸気を与えて、あまり衣類を動かさずそのまま上からアイロンで抑えれば終了といった感じです。
アイロンはシワを伸ばす道具でもありますが、まだ湿った状態の柔らかい未完成の衣類を熱で乾かしながら固定して完成させる道具とも言えるのです。

皆さんは、アイロンを滑らせながらシワを伸ばしていくイメージをお持ちだと思います。でも、もし間違った方向に生地を伸ばしていて、そのまま気付かずにアイロンの熱で固定してしまうと、一見シワはなくても左右非対称であったり、なんとなく着心地が悪いなんてことになってしまいます。
アイロンはテクニックというよりも、まず「手で」衣類を平らなところで綺麗に、そしてなるべくシワをつけずに置くことが肝心です。この点を意識してみてください。

買うときに気を付けること

お洋服を買うとき、洗ってもシワになりにくいものを選ぶのもよいですね。
例えば、ワイシャツであればケアラベルを見て「綿100%」と「綿50%+ポリエステル50%」混紡の二種類の品が同じようなデザインであったとしたら、後者の方がシワがつきにくいですし、乾きも早いです。

シャツに限らず、スーツもウールに50%ポリエステルが混ざっていれば着用での型崩れが起きにくい、ズボンのプリーツラインが消えにくいなどのメリットがあります。一方、化繊の割合が高くなれば吸水性が劣るのなどのデメリットもあります。また肌の弱い方は自分のお身体とよく相談したうえで決めてください。

ポイント6

シミ抜きのお話

    シミ抜き

シミ抜きはリスクが非常に高く、私たちプロでも十分な知識と経験が必要な分野です。

例えば、素敵な青柄のデザインの上に赤茶色のシミがついているとします。
古いものですと色素が定着してお洋服の柄や地色よりも頑固になっており、簡単に落とすことはできません。そこで、一度、シミのついた箇所を白く脱色した後、柄や色を書き足すといった作業を行わなければなりません。

つまり、シミを、何回洗っても取れない元々ある柄と一緒に化学反応で一旦除去して、そこからまた柄を書き足し、わからないように綺麗に元に戻すという作業になります。染色の技術が無ければ漂白シミ抜きは行わない方が安全です。

とはいえ、インクなどの染料系やワインなどの色素を除いて、付着してすぐであればお家でできる対処法がありますので、ご紹介します。

化粧品のシミ

口紅やファンデーションといった化粧品は普通に洗っただけでは落ちにくいですよね。
ここでは、身近にある、実際にママがお化粧落としに使っているクレンジングジェルが役立ちます。お肌に塗って浮かせて落とすように、お洋服にも優しく塗ってみてください。身体に触れても安全な薬品はお洋服にとっても安全と考えてよいと思います。

油のシミ

食器洗い洗剤が活用できます。お皿が冷水よりもお湯で洗うとスッキリするように、お洋服に付いた油のシミもお湯で洗った方が落ちやすくなります。

血液のシミ

ただし、お湯で洗ってはいけないのが血液のシミです。これは血液中のタンパク質が熱で固まって取れにくくなってしまうからです。付着してすぐであれば冷水でほとんど落ちます。でもやはりシミ抜きは、なるべくプロにお願いしてください。

【ご注意】必ずテストしてから

それでも、何ごとにもイレギュラーということがあります。シミ抜きをする際には、必ず目立たないところでテストをしてからにしてください。

難しいシミはプロに任せて!

もう着古して失敗しても仕方がないと思えるお洋服なら別ですが、普段着でも愛着のあるものもあると思います。
お洋服をシミ抜きでお預かりするときは、衣類が患者さんで私たちがお医者さんになります。依頼主さんにどういった経緯でこういう病状(シミ)になったかをできるだけたくさん問診して、ケアラベルを見ながらその子(衣類)にあう治療法と薬を考えます。
その後何度もテストを繰り返して少しずつ様子を見ながら治療していきます。その治療に無事に耐え抜いた子がようやく退院できるのです。

最初から完璧を目指すのは大変だと思いますので、できることを少しずつ始めてみてください。そして、お家のお洗濯とプロのクリーニングを上手に使い分けができるようになっていただきたいと思います。

お洗濯を通してパパが子どもと触れ合う時間がより充実したものとなり、そして日々家事に追われるママの笑顔につながるのなら、こんなにうれしいことはありません。

石原クリーニングイメージ

石原クリーニング
きんすシミ抜き研究室

横浜の石川町にあるクリーニング店。

「パパもママもお洗濯のことでわからないことがあったら相談してください」と親身になってくれる、地域密着のクリーニング屋さんです。

パパノミカタ メニュー