「パタハラ」※1、「パタニティ・ブルー」※2という言葉があらわすように、仕事と子育ての両立に悩む男性が増えています。
両立のコツは、両方とも完璧にこなそうとしないこと。効率重視の仕事スタイルに切り替えるのも有効です。
育児のための法律※3や制度も、パパの強いミカタです。令和3年6月には、育児・介護休業法が改正されました。今回の改正では、男性も女性も育児と仕事を両立しやすいよう、「雇用環境整備の義務化」(令和4年4月1日施行)や「産後パパ育休」(令和4年10月1日に施行)等が段階的に施行され、柔軟に育休を取得しやすくなっていきます。
育休などの制度を活用するうえで、「職場の理解を得られるかどうか」は大きなポイント。いざという時、上司や同僚があなたのミカタとなってくれるよう、日ごろから職場でのコミュニケーションを取り、信頼関係を築きましょう。
夫婦間でもホウレンソウ(報告・連絡・相談)を大切に。家庭の基盤が安定してこそ、仕事にもやりがいが感じられ、仕事のストレスは、家族の笑顔で解消されるのです。
※1 パタニティ・ハラスメント。育児休業などを取得しようとする男性が、職場で嫌がらせを受けること。
※2 パートナーの出産前後、環境の変化などにより父親が情緒不安定になることを表した言葉。
※3 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)等。
1歳に満たない子を養育する労働者は、男女を問わず、希望する期間、子どもを養育するために休業することができます。また、分割して2回取得することもできます。
正社員だけでなく、パート、アルバイト、派遣などの契約期間の定めのある労働者であっても育休申出時点で次の要件を満たしていれば育休を取得することができます。
・1歳6ヶ月になるまでの間に、雇用契約がなくなることが明らかでないこと。
パパ・ママともに育休を取得する場合は休業可能期間が延長され、子が1歳2か月に達するまでの間にパパ・ママそれぞれ1年間まで育休を取得できます。ただし、ママの場合は出産日・産後休業期間と育児休業期間をあわせて1年間です。
子が1歳以降、保育所に入れないなどの一定の要件を満たす場合は、子が1歳6か月に達するまでの間、育休を延長することができます。
また、再度申請すれば、子が2歳に達する日まで育休を延長できます。
雇用保険の被保険者が1歳(保育園に入れない場合などは1歳6か月)に満たない子を養育するために育休を取得した場合に、一定の要件を満たすと育児休業給付の支給を受けられます。(支給額:育休を開始してから180日目までは、休業開始前の賃金の67%。それ以降は50%)
育休とは別に、子の出産後8週間以内に4週間まで取得可能です。また、分割して2回取得することもできます。
育休申出・取得を理由とする不利益な取扱いを行うことは禁止されています。
事業主へは、上司・同僚からの妊娠・出産、育児休業を理由とする嫌がらせ等を防止する措置を講じることを、義務付けられています。
育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるよう、事業主は研修の実施や、相談窓口設置等の措置を講じなければなりません。また、本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する周知と休業の取得意向の個別での確認を義務付けられています。
従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられます。
現在も多くの女性が出産・育児により退職に至っている状況を背景に、男性の育児休暇取得を促進するため、柔軟に育休を取得しやすくなっていきます。
【令和4年10月現在】
育児休業の他にも子育てを応援する制度があります。
小学校入学前の子を養育する労働者は事業主に申し出ることにより、年次有給休暇とは別に1年につき子が1人なら5日まで、子が2人以上なら10日まで、病気やけがをした子の看護、予防接種及び健康診断のために休暇を取得できます。(有給か無給かは会社の定めによる)
※令和3年1月1日より、子の看護休暇は1時間単位の取得が可能になりました。
事業主は、3歳未満の子を養育する一定の労働者について、短時間勤務制度(1日原則として6時間)を設けなければなりません。
事業主は3歳未満の子を養育する一定の労働者からの請求があった場合は、所定外労働をさせてはいけません。
事業主は、小学校入学前の子を養育する一定の労働者から請求があった場合は、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。同様に、深夜(午後10時から午前5時まで)においても労働させてはいけません。
育休期間だけが子育てではない!子育てはずっと続くのだ!
【令和4年10月現在】
企業等によっては法律を上回る内容の制度(例えば子どもが満3歳まで育児休業を取得できるなど)を定めているところもあります。あなたの勤務先の制度がどうなっているか確認しましょう。
「イクボス」とは、私生活で育児や介護等をする職員を応援する上司のことです。私は、業務の効率化や休暇の取得促進等に積極的に取り組み、職員が子育てや介護をしながら生き生きと活躍できる職場を実現するため、平成28年2月、県の幹部職員とともに「イクボス」になることを宣言しました。
さらに、「イクボス」を増やすため、企業等への働きかけを積極的に行うなど、「企業も家庭も地域も元気な神奈川」の実現に向けて全力で取り組みます。
神奈川県知事 黒岩 祐治 (くろいわ ゆうじ)