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かながわ版父子手帳

ワーク・ライフ・バランス実現のために

仕事をしっかりしながら、子育てにもじっくり向き合いたい。ワーク・ライフ・バランスはパパの育児に必要な要素のひとつです。

育児休業を経験し、職場復帰後も日々工夫しながらワーク・ライフ・バランスを実現している会社員の真鍋考士さんに、働き方や、タイムマネジメントのコツを伺いました。

真鍋 考士(まなべ たかし)さん

2歳の女の子のパパ。会社員。産後のママの職場復帰に伴い、バトンタッチで2ヶ月間の育児休業へ。職場復帰後は働き方を大きく変え、現在は夫婦ともフルタイムで働きながら子育て中。

――ワーク・ライフ・バランスについて、真鍋さんはどのように考えていらっしゃいますか?

ワーク・ライフ・バランスは子どもが生まれる前からかなり意識しています。趣味でバンド活動をやっていて、年に2回、夏と冬にボランティアでライブをやっているんです。その活動を大切にすることと、仕事を両立することを十数年やってきました。

最近では「ワーク・ライフ・バランス」という言葉も、だいぶ浸透してきたと思います。私の勤務している会社では、CSR(企業の社会的責任)の研修があるため、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉自体はほとんどの社員が知っていると思います。でも積極的に推進しているかというと、同じ社内でも、部署や人によって捉え方や考え方は様々かなと思います。

私は子どもが生まれてから、職場復帰する妻とバトンタッチする形で育児休業に入りました。育休は会社でも国でも、制度の上では整備されているんですが、実際に男性がそれを取る例が身近になくて。いざ自分が取るとなると、「え、取るの?」みたいな反応はありましたね。

――制度は整っているが、意識が追い付いついていない、という。

高度経済成長期では、一律的な性別役割分担意識から女性が家事を担ってくれたおかげで、男性が会社に長い時間を捧げ、その大量の労働力を利用することで企業は成長してきたという経緯があるんだと思います。結果的にその時代は、男性が外で長時間仕事をして、女性が家庭を切り盛りしてという、役割分担がうまく回っていたということなのかなと…。

それが少子高齢化の時代になって、女性も社会進出が求められるようになった。でも従来の性別役割分担意識が残る社会の中では、女性は仕事に加え、家事も子育ても全部やらなきゃいけなくなっているんですよね。そうすると女性も「2人目産んで育てるなんて無理!」ってなり、それが少子化につながっているのではないでしょうか。

また、仕事を頑張る=会社で長時間働く、という考え方がまだまだ根強く残っているため、長時間労働が改善されないんだと思います。そうすると社員は会社外で活動する時間が少なくなり、出会いの時間もなく晩婚化が進むし、スキルを磨く自己研さんの時間とかも削られて、会社としても戦力ダウンになる。負の連鎖なんですよね。

真鍋さんと娘さん

――真鍋さん自身は「ワーク・ライフ・バランス」実現のために、会社ではどんなことをしていますか?

育児休業を終えて出社した時に、「残業を前提にした働き方はしないで、基本的に定時退社します」と宣言したんです。いわゆるセルフブランディングですね。会社のゴルフコンペに参加するために会社を休む人がいますよね。そういう人達を、周囲の人達は「あの人はゴルフコンペの時は休む人なんだ」って、無意識のうちに受け入れていますよね。やりたいことがあるなら、自分から言わないといけないんだと。自分から発信することで「この人は家で育児や家事という仕事をする人だから、残業はしない人なんだ」って、周りの人に認識をしてもらうようにしました。今では周囲の人が自分の働き方を理解してくれて、打ち合わせの時間等を配慮してくれます。まずは自分から「自分はこうしたいんだ!」って発信していくことが大切だと思います。

――定時退社するためにどのような工夫をしていますか?

周囲の人に流されないようにしています。今日やらなければならない仕事は終わっているのに、「周りが残業しているから自分ももう少ししよう」みたいなことってあると思うんですよ。でもその結果が長時間拘束という形になってしまっている。職場の空気のことを考えると、自分だけ残業をしないっていうのは、結構難しいですけど、そこは周りに流されず、自分の考えで行動するように意識しています。

それと、仕事のアウトプットの質を落とさないようにしています。時間に制約はありますが、その中でいかに効率良くこなせるか、日々追求しています。仕事のパートナーがいる場合は、業務の役割分担というか所掌範囲をしっかりと決めて仕事をしています。これが明確になっていないと、相手の仕事に引きずられて、何となく自分も残らないといけない雰囲気になってしまうので。

但し、絶対に残業しないということではないですよ。残業を前提に仕事をしないというだけで、どうしてもやる必要のあるときは、妻と連絡を取り合って遅くまで会社に残ることもあります。周りが困っているときは、自分のできる範囲で手伝ったりもします。

もちろん、新しい業務を依頼された場合でも断ったりせず、前向きに対応するように心がけていますね。早く帰る、仕事を早く切り上げる人には、仕事を断って、「これ以上無理」、「これ以上もうできない」みたいなイメージがあるかもしれませんが、時間の量をたくさん使えないだけで、仕事の質とは関係ないと思っています。タスクに優先順位をつけ、作業ボリュームの見極めを行い、いかに短時間で処理できるかを心がけています。だから、仮に「もう帰るの?」と言われても、「今日やらないといけないことは全部できたんで」と言えるようにしています。

――ご自身の仕事や時間をしっかりマネジメントされているんですね。

周りに早く帰るのをマイナスに受け取られないように意識しています。

新しい業務の依頼にも前向きに対応しています。例えば、普段の業務はサービスの開発業務ですが、職場改善の取組みも並行してやっていて、「ファミリーデイ」というイベントを企画しました。職場に子どもや家族を招き、どんなところで働いているか、どんな仕事しているのかを見てもらう。子ども用の名刺を作って名刺交換したり、楽しんでもらうイベントです。それも、本来業務をやりながら、定時退社も継続しつつ、時間の使い方を工夫して、一人でやり遂げました。

真鍋さんとご家族

――ご自宅ではパートナーとの家事や育児の分担はどうしていますか?

結婚した時から、お互いフルタイムの勤務だったので、「家事もちゃんと分担してやろうね」と話して、その時から分担をしています。早く帰った方が家事をやっていたんですが、そのうちだんだん、料理はぼくで、掃除は妻みたいに役割が決まってきました。

でも自分の分担の家事しかやらないわけではなくて、妻が疲れていたら休んでもらって、その間に自分が家事を進めます。例えば付き合っているときに、自分の彼女が重い荷物を持っていたら、荷物を持ってあげたりしますよね。今もその延長なんです。妻にしんどい思いをさせたくないというのが、自分の中に大きな一本の柱としてあるんです。

だから、仕事が終わると寄り道をせずにまっすぐ帰ります。自分が自由に過ごしている時は、パートナーの時間を使わせてもらっている。そう考えると残業をしなくなります。

子どもが生まれる前は、夫婦ともに夜9時くらいまで会社に残って、帰宅は11時という生活でしたが、そこをガラッと変えました。片方が入浴、寝かしつけなど、子どものお世話をしている間に、もう片方は並行して家事を進める。パラレル家事ですね。やれる人がやれる時間にやる、いわゆる家事シェアというイメージです。

家庭とか子育ては、夫婦の共同プロジェクトだと意識するようにしています。両方が家事を出来るようにして、お互いの時間を浪費しないように、2人でプロジェクトを進めている感じですね。

――自分の時間はありますか?

結婚前はパソコンや楽器練習の時間も持てていたんですが、今はほとんどそういう時間は持てませんね。やりたいことは出来なくなりましたが、そう考えるのはもったいないと思います。育児と向き合うことで新たな扉が開くと思うんです。今では時々、子育て支援センターでマジックやジャグリングをしたりと、新しいことに挑戦しています。

――真鍋さんは「ワーク・ライフ・バランス」の現在の問題点と今後の課題をどのように考えていらっしゃいますか?

私は、ワーク・ライフ・バランス実現のためには、個人の意識の問題、周りの環境の問題、社会の問題と、大きく3つあると思います。その中でも、個人の意識として「不戦敗しない」ということが大事だと感じています。男性が家事や育児にかかわることに対して、周りの理解はまだまだ少ない。例えば、子どもが生まれたとき、女性は物理的に会社を休まないといけない。「いつから休みに入るの?」とか、「生まれた後はいつまで育休取るの?」とか周りが聞いてくれると思いますが、男性には聞いてくれません。自分から言い出さないと、何も変わらないんです。言ってみて、反対されたら、そこで諦めるのか、または戦うのかになるんですけど、言う前から自分で負けちゃうのは良くないと思います。

「育児休暇」っていう言葉が良くないと思うんですけど、「休暇」ではなく別の仕事場に行くんですよね。だから、そういう社会の意識を変えていきたいんです。でも、権利だけを主張するのではなくて、仕事はしっかり前向きな姿勢を出して、自分のやりたいことも周りに伝えて両立していくっていう、そういう動き方が必要だと思います。

真鍋さんの一日

真鍋さんは平日、こんな1日を送っています。家に帰ると夕食、お風呂、洗濯等の家事育児のゴールデンタイム。ダラダラすると寝かしつけが遅くなってしまうので、夫婦でテキパキこなします。お風呂の後、子どもと遊んだり、絵本を読んだりして、必ずふれあいタイムを過ごしています。

休日は少しだけゆっくり起きて、家族でお出かけしたり、外食したりしています。

6 起床・朝食 私の方が早く起きるので、朝食は私の担当です。
7 通勤 通勤時間は2時間弱。子どもの保育園への送りは妻にお願いしています。
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9 仕事 定時で上がれるよう、今日中に終わらせる仕事をチェックし、タスク処理の優先度を確認して、時間の使い方を決めます。
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12 昼食 昼休憩は自分の時間が取れる貴重な時間。読書やSNSで情報収集しています。
13 仕事 割り込み仕事も含めて、タスクの処理順序を調整しつつ、残業が必要かを見極めます。
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18 定時退社し帰途へ 保育園のお迎えと夕食を担当してくれている妻を早く手助けできるよう、最短時間で帰ります。妻が残業のときは、仕事を早めに切り上げて子どものお迎えをします。
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帰宅 夕食が始まったばかりなら一緒に食べ、終わりかけなら自分の夕食は後回しで家事を。
20 ケース1 ケース2 ここからは妻と日替わり。早く寝るために“パラレル”で効率よく。
入浴 夕食片づけ・掃除・洗濯・部屋の片づけなど、どんどん家事をこなす。 どちらかだけにならないように入浴も日替わり。
ふれあいタイム 子どものお世話は2人で協力して。入浴後のスキンケアは毎日の日課。じっとしてくれず時間かかることも。服着せようとすると、嫌がることが多く、あっという間に時間が過ぎます。

一緒に遊んだり、絵本を読んだり、じいじ・ばあばとテレビ電話をしたり、ふれあいタイムも忘れずに。
21 寝かしつけ なかなか歯磨きをさせてくれず一苦労。ベッドに行きたがらないことも多いです。
ベッドでも寝付くまでには時間がかかり、パパママ両方が側にいないと寝ないことも。寝かしつけ中に夫婦で寝落ちてしまうことも多々あります。
22 休憩・残りの家事・夫婦の時間 寝かしつけが早く終わるまでは、基本的にテレビはOFFにしていることが多いです。子どもが寝たら、ようやく自分達の時間。洗濯物を干すなど、残りの家事をやりつつ、後回しにした夕食や夫婦の時間を過ごします。
23 入浴・夫婦の時間・自分の時間 寝落ちしていなければ、自分の時間が持てる日もあります。
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以降
就寝 おやすみなさい。

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