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育児休業の取得で得られたもの

男性の育児休業が推進され始めた昨今ですが、男性の育休取得率は伸び悩んでいる現状があります。

今回は、実際に育児休業を3回取得し家事や育児に最大限貢献されているだけでなく、父親育児を応援する「パパライフサポート」の代表池田浩久さんにお話を伺いました。

池田 浩久さんイメージ

池田 浩久(いけだ ひろひさ)さん

横浜市在住。4児の父。第一子から第三子まで一度ずつ育休を取得し産後のパートナーを支えながら家事・育児にコミット。2012年から横浜市を中心に『父親育児の楽しさを広める』活動を開始。2019年パパライフサポート事業をスタート。2022年NPO法人ファザーリング・ジャパン理事に就任。 https://papalife-support.amebaownd.com/

――育児休業を取得したきっかけはなんでしたか?

初めて育児休業(育休)を取得したのは、第一子の長女が保育園に入園する時でした。長女が産まれてから一年が経とうとしているタイミングで最初の育休を約一か月間取得しました。

きっかけとなったのは、会社のお昼休みに見つけた、2010年に施行された育児・介護休業法の改正に関する記事でした。記事の中には、いくつか条件があるものの母親が育休を取得していても、父親が育休を取得できるとの記載があり、大変驚きました。その記事を食い入るように読み、長女が産まれた時には有給休暇を使って休んでいましたが、もしかしたら今回は自分も育休が取得できるかもしれないと期待が膨らみました。

しばらくして、会社のグループウェアで社則改正の知らせが届いたときのうれしさは今でもはっきりと覚えています。自分にも育休がとれるチャンスがある。ぜひ取得したいと望んでいました。

育休を望む大きな理由としては、子供が生まれてからも忙しい生活は変わらず、土日に育児をすることだけで、家族と過ごす時間があまりにも少ないと感じたからです。

長女は里帰り出産だったため、私が育児を始めたのは、妻が里帰りから帰ってからで、妻より一ヶ月以上も遅れてのスタートでした。その間、子どもの成長を垣間見る事しかできず、育児は妻から全部教えてもらいながら行っている状態で、二人で子どもを育てようと話していたのに現状は妻に負担をかけているのでは…と心苦しく思っていました。

池田さんと娘さん

――育児休業を取得したことで良かったこと、大変だったことを教えてください。

私は、第一子は入園と妻の育休復帰のタイミング、第二子・第三子は出産後すぐの産褥期に育休を取得しました。

第一子の時には、保育園の入園式から慣らし保育まで、一通り妻と一緒にやったおかげで保育園の準備と送り迎えがスムーズだったことや、復帰後の家事のやり方を夫婦で話し合って私も家事が担えるようになったのは育休を取ってよかった点だと思っています。

今の家事育児のバランスの基礎をその時期に培ったのではないかと思いますし、何より夫婦で子育てをしているという家族のカタチを作り上げた時期だったと思います。

第二子、第三子の時の育休時は妻の産褥期だったことから、家事育児を積極的にこなす事で、妻の体と心の回復になったのではないかと感じており、育休が取得できるありがたみを痛感しました。

大変だったことは、育休から復帰した途端に通常回転の仕事に戻ったことです。休業中に滞っていた仕事をこなすと、すぐに仕事中心の多忙な生活に戻り、子育てに関わる時間が減ってしまったことで妻へ負担をかけてしまう状況になりました。周りの性別役割分業意識もまだまだ根深く、子育てのために帰宅するような環境ではなく、仕事をせざるを得ない現状もあります。

――ママからも感想をいただきました!

第一子の時は、慣らし保育期間中から、夫と一緒に園に送り迎えに行けたことはとても助かりました。入園当初の段階で、夫も先生や他の保護者の方との関係性が築けたことは家族にとってとても良かったと感じています。登園準備、送り迎えの園内での段取りなど夫婦で一緒に覚えることができました。

また私の仕事面では、復帰直後は事務処理や挨拶回り、打合せ等が多いと想定していましたが、子どもの急な発熱や家事など夫婦で対応できたことで、復帰当初の仕事面の立ち上がりが予定通りに進み、スムーズだったと思います。

第二子、第三子の時は、産後1か月で体も回復しきっていなかったため、家事や第一子の園への送迎をはじめ第一子の世話は、夫がほぼ一人で行っていました。週末は日中夫が第一子を公園などに連れ出し、第一子が身体を動かして親と遊ぶ時間がたくさん確保できていたと思います。夫も一人でやろうとしないで、パパ友達をたくさん作って、父子で約束して公園などで遊んでいたようです。

池田さんとご家族

産後の自分や赤ちゃんにとっては静かな時間ができ、自分は産後1か月間ほぼ横たわって過ごすことができたため、その後の心身の回復がとても早かったです。家事のやり方等の違いのすり合わせに時間をかけることもできたため、復帰時点では既にやり方が決まりぶつかる事も少なくなったと思います。

――育休を取得する際、職場の理解を得るコツがあれば教えてください。

私の経験から3点お伝えしたいと思います。

1つ目は、会社へ育休取得の希望を早めに伝えることです。育休をいつ・どのくらい取得するか、その前後の仕事への影響・範囲・仕事の状況を周囲に明確に伝えることで、私が不在の間の責任の所在や仕事のスケジュールなどがはっきりします。育休期間中の仕事を誰にどう割り当てるかは会社が決める事だと思いますが、自身の中でも、しっかり明確にしておくと良いと思います。(育休期間については夫婦で事前に話をしておくと家庭内でもスムーズに話が進むかと思います)

2つ目は、仕事の引継ぎをしっかり行うことです。業務の進捗やTo-doやペンディング事項、連絡内容、資料の保管場所など、必要なことを育休取得前にミーティングでしっかりと伝えておく必要があります。引継ぎが十分でない場合、復帰後にその修正から入るため、仕事と生活のバランスをとることが難しくなります。また、周囲に混乱をきたすことで、今後の男性育休取得の推進に歯止めをかけてしまう可能性もあります。

3つ目は、ワーク・ライフ・バランスを意識しておくことです。育休は子育てのスタートであり、これからが子育ての本番です。育休取得後に自身がどう働きたいのか、やり方や方向性など、具体的にイメージする時間を少しずつでも取っておくのが良いと思います。できれば、それを上司へ共有しておくことで、家事・育児の時間確保と妻の負担を減らす事ができるかもしれません。

池田さんのとある一日

第一子の育休時は、スケジュール管理を試行錯誤していたという池田さん。

第二子、第三子の時には、家事にも慣れ、余裕を持ったスケジュールで臨機応変に対応できるようになりました。

6:30 起床・朝食の準備/第一子を起こす 妻が起き上がれそうな場合は声をかけてますが、授乳直後や寝れていなさそうなときは起こさずに準備を始めます。
7:30 朝食 第一子と一緒にご飯をたべる。スプーンやフォークで自分で少しずつ食べれるようになってきたなという新たな発見も。
8:30 登園準備~登園 洋服に着替え登園の荷物を準備して、ゴミ出しを終えて保育園へ出発。出発直前にグズグズすると時間がかかることも…。保育園の先生とお話しできる機会でもあります。
9:30 朝食の片づけ・家事 朝食の後片付けをしつつ、起きた妻へ保育園の様子を伝えたり、妻の朝食を準備します。その間に洗濯しながら第二子をあやします。
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11:30 お昼ご飯の準備 お昼ご飯はできるだけ簡単なものにして午後からの体力を温存しておく。
12:30 昼食 タイミングよく第二子が寝ていれば、夫婦水入らずで食事をとります。
13:30 買い物 第二子の一ヶ月健診前は母子で外にでないので、私が買い物担当でした。買う量も増えるので買い物に時間もかかります。
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15 休憩・家事/子どもと遊ぶ 休憩が取れることもありますが、子どもを預かり一緒に過ごすことが多いです。
16 降園 第一子のお迎え。育休中のため、16時にお迎えに行き、そこから帰りに二人で遊びながらゆっくり帰ります。
17 食事の準備 妻が第二子を抱っこしながら、第一子に園の様子をきいたり、子どもがテレビ「おかあさんといっしょ」を見てる間にご飯を準備します。
18 夕食 メニューによっては、大人と子どもと違う物を準備します。できるだけ家族で食事するよう心がけていました。
19 お風呂 夕食の片付けは先にやって、第二子のもく浴準備をします。妻がもく浴させている間に、第一子のお風呂の準備とお風呂タイムになります。
20 子どもと遊ぶ お風呂から上がって、子どもと自分の着替えや寝る準備をします。子どもたちと遊べるときは少し遊ぶことも。歯磨きを嫌がるのが大変でした。
20:30 子ども就寝 子どもたちははやめに寝かし付けます。寝かしつけ後に、残りの家事が残っていれば終わらせて寝ます。

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