甲斐 亮汰(かい りょうた)さん
横浜市在住の甲斐 亮汰さんは、小学校教諭であり絵本専門士としても活躍中。7歳と2歳の男の子のパパで、2025年10月には第3子が誕生予定です。育児休業中に絵本の魅力に出会い、親子の時間を豊かにする読み聞かせの大切さを伝えています。
ここでは、甲斐さんの絵本との関わりや、読み聞かせのコツについてたっぷりお話を伺います。
長男が生まれた時に育児休業を取得したのですが、その際絵本を読んで「楽しい!」と感じたのがきっかけです。もっと絵本のことを深く学びたいと思い、調べてみたところ「絵本専門士」という資格があることを知り、講座に申し込みました。
講座では、絵本の歴史からおはなし会の作り方、著作権、作家の思い、絵本の紹介や展示方法まで、絵本に関する様々なことを幅広く学びました。
絵本の読み聞かせには、集中力が向上する、想像力が育つ、言葉の発達が促されるなど、多くのメリットがあると言われています。
でも、私は「教育のため」と考えすぎないでほしいなと思っています。例えば、絵本の途中で「この色は何色でしょう?」とか「誰がどう思っていると思う?」といったように質問をしすぎると、子どもは「後で質問されそうだな」と、ストーリーそのものを楽しめなくなってしまいます。だからあまり質問はせずに、親子で一緒に楽しむことが一番大切。教育的な効果は、あくまで自然についてくる「おまけ」みたいなものだと思っていますね。
また、絵本は家で読むだけではなく、本屋さんや図書館、美術館、絵本のイベントなどにお出かけするきっかけにもなります。そのように楽しみが広がっていくと、子育てももっと楽しくなるはずです。
まず、無理に読み聞かせをしようとしないこと。子どもは他のことに興味があるときに無理強いされても絵本を楽しめません。静かに絵本を開いていると、自然に子どもが近づいてくることもありますよ。
我が家では、毎日寝る前に絵本を読むようにしています。決まった時間を作ることで、絵本の読み聞かせが習慣化しやすくなり、おすすめです。
読み方については、本の表紙や、見返し(物語が始まるまでのページ)、裏表紙まで全部を子どもに見せるのがコツです。見返しにもこだわって作られている絵本は多いですし、表紙や見返しから物語の世界観に入っていく絵本もたくさんあります。
それから、子どもを面白がらせようとしすぎて、読むときに強弱をつけすぎたり、声色を変えすぎたりしないように気をつけています。主役はあくまで絵本です。良い絵本は読んでいくうちに自然とリズムが生まれることが多いので、無理に読み方を考えず、シンプルに読んでいくのが良いと思います。
絵本のおかげで家族との絆がとても深まったと感じています。
例えば、「ちょっと叱りすぎちゃったな」と思った時に絵本を一緒に読んだり、グズっている時に絵本を読むとご機嫌になることもあります。「絵本に助けてもらっているな」と感じることが多いですね。
また、絵本を通して子どもの成長を感じる喜びも大きいです。
例えば、 『くっついた 』を読んで、「くっついた」の言葉と同時にこちらから子どもにくっつくことを繰り返していると、「くっついた」のところでは子どもも自分からくっついてきてくれるようになりました。『ぺんぎんたいそう 』では絵本のぺんぎんたちと同じように親子で一緒に体を動かしながら「こんな動きもできるようになったんだな」と成長を感じることができました。『バムとケロのにちようび 』では小さく描きこまれた絵を見て「ネズミがドーナツ食べてる!」と発見してくれると、 細かいところまで絵を読む力がついてきていると感じて嬉しくなります。 こうしたひとつひとつの体験が、親として幸せを感じる瞬間です。
絵本は本当にたくさんあり、選ぶのに迷ってしまうこともありますよね。そんな時に役立つヒントをいくつかご紹介します。
一番大切なことは、「楽しんで読むこと」です。楽しい気持ちは自然と子どもにも伝わり、無理なく続けられます。絵本を読む時間は、子どもとしっかり向き合える特別なひととき。家事やテレビを見ながらではできない、かけがえのない時間です。そして、この時間は思っているよりずっと短いです。大きくなると一緒に読んでくれなくなることもあるので、今を大切にしてほしいなと思います。「上手く読めない」「聞いてくれない」と悩まなくて大丈夫。絵本を読むだけで「大好きだよ」という気持ちはちゃんと伝わります。仕事で疲れた日には、絵本があなたの心をほっとさせてくれることもありますよ。気軽に、好きな本から始めてみてください。親子の絵本時間は、きっと宝物になります。
読み聞かせのコツがわかったら、次は絵本選び!読み聞かせにぴったりな絵本を紹介しています。