パパも子育てトークしたい!
オンライントーク
2023年10月22日(日)に、かながわパパ応援ウェブサイト「パパノミカタ」主催のオンライン座談会イベント「育児をしながら働くパパの工夫やコツ」が開催されました。
イベントは公開ラジオ形式で行われ、様々な年齢・月齢の子どもを育てている6人のパパ達が様々なテーマについてエピソードを交えながらホンネで語り合う90分間。当日は30人近い方々が参加する大盛況のトークイベントとなりました。
まず、はじめは「夫婦のパートナーシップ」について。
「私も妻も初めての子育てでしたので、何が子どもにとって良いことなのか、いったい何が正しいことなのか分からず悩みながら育児を続けていくうちに、次第にイライラが募っていきました。さらに、妻の育休明けからは、お互いの勤務時間のすれ違いもあって、コミュニケーションの時間も上手く作れていませんでした。当然衝突することも増えてしまったんですね。
そこで話し合った結果、土曜の夜に『二人で話す時間』をつくろうと決めました。二人で意識的に話をするということだけでも、夫婦のパートナーシップが深まっているという実感がありました。会話の内容は子どものことや、それぞれの仕事、普段の出来事など、言葉にして口に出すことでお互いのストレス解消にもなりましたね」
夫婦で話す時間をつくることについては、他のパパも同感。「我が家はまだ3人とも小さいので、夜は絶賛夜泣きタイム(笑)なので厳しいんですよね。そこで、私が有休を取り、上の子が幼稚園の時間に下の子を一時預かりにお願いして、日中にカフェでコーヒーを飲みながら話すようにしています。ただ、やろうと思った時に限って誰かが風邪を引いて、予約が流れてしまうことも多いです(笑)」
夫婦間で話す内容は、子どもの月齢や年齢が進むにつれても変化します。小学校や中学校に入学すれば、勉強や進路についての話も避けては通れないので、時には子どもも交えてお互いの意見を聞き、気持ちを伝え合う時間を作ることが大切という意見も出ました。
ここで、育休を取得したというパパから質問があり、「夫婦で話し合いの時間を設けたのは、子どもの月齢が何歳頃からですか?」というコメントが。「自分は育休を取得したのですが、子どもがまだコミュニケーションが取れない月齢の頃は、ワンオペだと日中に話せる大人がいないことが非常に辛かったですね。振り返ってみると、夜などに誰か話し相手がいるだけでも、大分助かるのかなと思いました」
パパにせよママにせよ、ワンオペで育児を行うのは想像以上に大変。特にこれからパパになる男性の方には、日中に子どもと二人きりで過ごすことの孤独さや、言葉での会話ができない状況の大変さを知って欲しいです。だからこそ、一番身近にいるパートナーと腹を割って話をする時間を、あえてつくってみてはいかがでしょうか?
続いてのテーマは、「パパの息抜き方法」について。趣味の時間は持ちたいけど、そうも言ってられない状況の中、どのような工夫をしているのか様々なアイデアが出ました。
「息抜きはとっても大切ですね!子どもが生まれる前は、趣味と生活の時間はしっかり切り分けられていましたが、子どもが産まれた後は、家事に仕事に毎日やらなければいけないことが多過ぎて、趣味の時間なんて全然持てませんでした。そこで考えたのは、『子どもと過ごす時間を自分の趣味に充てる』ということでした。例えば、子どもが喜ぶバルーンアートを覚えてみたり、お弁当に入れるおかずでウィンナーアートを楽しんだり、とか。そうすることで、子どものためだけじゃなくて自分自身も楽しめる要素を取り入れてみました」
「ただ一方で、自分一人で楽しむ時間も必要だなと思ったので、家族の誰より早起きをして、映画を観たり、読書をする時間をつくりました。それはそれで有意義だったのですが、「時間を埋めなきゃ」という義務感に近いものに囚われてしまい、シンドイと感じることもありました。そこでさらにマインドを変えて、有意義な時間の対義語として、『無意義な時間』、あえて何もしない時間をつくってみました」
家事や育児、仕事に忙しい日々の中、あえて何もしない時間をつくるということについては他のパパ達もウンウンと納得。続いて他のパパも発言。
「自分の趣味の時間を第一にしてしまうと、絶対に生活が保てない(笑)。僕はカメラが好きなので、娘と散歩しながら、風景や子どもの写真を撮ることで、趣味の時間と子どもと遊ぶ時間を同時並行で進めています」
「子育て支援拠点などで話をしていると、ここ数年で『マイタイム』の概念が変わっている印象を受けます。5~6年前までは、ママにマイタイムを持ってもらおうという意識が強かったと思います。ですが最近は、パパも色々頑張りすぎている側面があるので、パパにもマイタイムを持って欲しいというお話をすることがあります。僕も、コーヒーをドリップで入れている間、ぼーっと何もしない時間をつくっています。他には、家族を趣味に巻き込むことにもチャレンジしていて、家族で一緒にスキーをやったり、プロ野球やJリーグの観戦に出かけたりしています」
「自分の好きな詩人で、茨木のり子さんの『自分の感受性くらい』という詩に『ぱさぱさに乾いてゆく心をひとのせいにはするな。みずから水やりを怠っておいて(中略)自分の感受性くらい自分で守れ』という一節があるんですね。育児などを言い訳にして時間が無いから何もしない、できないでは、心が渇いていく一方なので、この詩を思い出しながら自分の気持ちは自分で持ち上げるようにしています」
また、参加者からのチャットでは、子どもが生まれてからは友人と時間を合わせるのが難しいので、オンラインゲームなどで繋がっているというコメントもありました。色々なツールを駆使して、他人と繋がったり、自分のための時間をつくったりすることで「自分の感性」を守ることが大切ですね。
次のテーマは「地域との関わり方」について。子どもが生まれて初めて地域との関わりができたというパパさんも多いはず。
「子どもが未就学児の時は、保育園や子育て支援センターにお世話になりました。子どもが小学校に入学してからは学童に通っているんですが、月に1回の報告会がありまして、さらにその後の飲み会があります。飲み会はかなり盛り上がり、帰りの電車の心配もないので日付が替わることもしばしばです(笑)」
「フットサルなどのレクリエーションイベントも盛んで、そういった場に参加したり、その後の交流会でアルコールが入っておしゃべりする機会があると、親密な仲になりやすいですよね。今の地域には引っ越してきたばかりということもあり、縁もゆかりもないところだったのですが、こうして知り合いが増えることで、すれ違った時に挨拶をしたり、ちょっと立ち話をしたりするなど、少しずつではありますが地域の人達との関わりも増えてきました」
ここで、小学校との関わりについての話になり、「小学校に上がると、いわゆる『小1の壁』のようなものもあり、保育園や幼稚園に通わせていた時期とは子育ての仕方も変わってきます。保護者会なども少しずつ以前と変わりつつあるとは思いますが、まだまだママが主体の関係性が強いという印象が強いです」
「保育園では、パパの送り迎えも多くなりましたが、小学校の保護者会やPTAの集まりは、平日の日中に行われることがほとんどなので、共働き家庭ではどちらかが休まないといけなくなり、結局ママに出席してもらうパターンが多いですね」
再び、地域との繋がりに話が戻り、「私は地方出身で、親族も学生の時からの友人もほとんど近くにはいないんですね。さらに、夫婦共に人見知りな性格で、結婚してからもずっと地域との関わりはゼロに近い状況でした。子どもができて、いざ子育てをするという段階になり、このまま二人でやっていけるのだろうかと不安でした。そんなタイミングで、10年ほど前ですが『地域で子育て』というキャッチフレーズが巷で言われるようになり、自分もこういった空気をきっかけに地域に頼っていければと期待していました。ただ、そのためにはまず親が行動しなくてはいけないので、夫婦で少し頑張って外に出ていきました。集合住宅の上下左右のお宅に挨拶をしに行ったり、月1回の自治会の清掃活動に出席したりして、周りの人達に顔を覚えてもらいました。今では、子どもの顔もしっかりと覚えてもらえています」
ちなみにこのお話をされたパパのお住まいは、同年代よりも高齢者の方が多く住んでいるそうです。子育て中の人との繋がりというと、同年代のパパやママを意識しがちですが、年代が違う人達との接点も、地域との繋がりから生まれるメリットではないでしょうか。
続けて、「第一子が生まれた時から、地域に根付きたいという思いはありました。横浜市は都会ということもあり、地域との繋がりが希薄なイメージを持っていたんですが、横浜市には『プレイパーク』といって、子ども達ばかりではなく、地域の方々や高齢者の方など様々なバックグラウンドを持った人達が集まる地域主体の遊び場があるんですね。通って1,2か月くらいでは中々知り合いもできないのですが、長く通い続けることで、今では近所で会えば挨拶ができるくらいの関係になりました。きっかけやタイミングはそれぞれだと思いますが、やっぱり外に出て、何かの催しに参加することで、人との繋がりも増えてくるのかなと思います」
参加者からのチャットでも、「ご近所さんに毎日あいさつをして、顔を覚えてもらいました」というお話もいただけました。親が一歩踏み出して外へ出て、勇気をもって様々な人達とコミュニケーションを取ってみると、新しい世界が広がるのではないでしょうか?
続いてのテーマは、「育休と職場復帰」について。育休は特に関心度の高い話題です。
「私は累計で2年弱育休を取得しました。キャリアの分岐点でもあったので、育休を取得すれば出世が遅れるのではないかとも考えました。会社からすれば休暇の間の査定ができないので仕方の無い側面もありますが、やはり長期間の育休取得は悩みました。取得するまでは、自分は何を大切にすべきなのかを自問自答したり、妻はもちろん職場や周りの様々な人に相談したり、検討に検討を重ねた結果、取得する決断をしました。育休を取って良かったことは、妻の気持ちを肌で理解することができたという点です。正直、第1子の際は『手伝う』スタンスでしたので、まるで当事者意識が無く、妻にも怒られていました(笑)。第2子ができたときに育休を取得し、いざ当事者として育児に参加してみると、こんなにも大変なものかと思いました。もちろん辛いことばかりではなく、例えば、寝返りを打てたなどの子どもの日々の成長を実感できたり、子どものお世話をする自分のスキルが上がったりと、有意義な時間でした。仕事に対しても、育休を取得する前はどちらかというと長時間働いて成果を上げるんだというマインドでしたが、取得後は『働ける時間の貴重さ』を感じています。家族との時間も念頭に置きながら仕事をするようになってからは、生産性も上がりました。大切なのは育休を取得して、その後復帰してからの期間で、そこからが子育てと仕事の両立の本番なんだと思います」
ここで、復帰した際の職場での受け入れられ方や、仕事内容についての質問が出ました。「ありがたいことに、周囲の人達には普通に振舞ってもらえました。むしろ、復帰して間もなく大きいミッションを持たされて、追いついていくのが大変でした(笑)。また、私が復帰した後に今度は同僚が育休を取ったりと、送り出しや引き継ぎもスムーズでした」
一方で、他に育休を取ったパパからは「私の職場では、仕事の分担がチーム内で1人1役になってしまうことも多く、育休中の間も空き時間にメールを返信するような生活でした。組織的に育休の引き継ぎなどに対応できている企業はうらやましいなと思ったりもしましたが、自分は育休取得しているのに育児に中々携われていないと責めたりはせず、自分でやれることをやろうと意識しました」との声も。育休を取っても、仕事との両立を続けなければならないといった環境の方もおり、理想的な育休を取ることの難しさが垣間見えました。
参加者からのチャットの質問では「職場復帰した際に大変な部分はありますか」というコメントが。
「子どもが急に発熱して、保育園から呼び出されるようなことは日常茶飯事でした。そこで、自分の仕事の進捗を会社のメンバーに常に共有するようにしました。オンライン上でもわかるように、私の状況をオープンにした状態にすることで、上司や同僚に安心してもらえるようにしました」
「仕事については、環境や業務内容が変わって対応する難しさはあったけれど、それ以上に家事や育児の維持が大変でした。例えば、子どものお風呂の世話やお散歩といったことが、職場復帰することで今まで通りできなくなってしまったことへの葛藤がありました。そこで、家事を手放してみたり、アウトソースしたりといったことにチャレンジしました。例えば、ミールキットの活用などです。最初は僕自身も『料理は手作りでするものだ』という思い込みがあったのですが、試してみることは大切ですね」
話は替わり、参加者からのチャットで「育児に体力は必要ですか?」という質問がありました。
「夫婦でジムに交代で通っています」「育児は抱っこなど腰を酷使しがちなので、腹筋しましょう!」というスポーツ系の回答から、「よく睡眠を取る」「3食しっかり食べる」などの規則正しい生活習慣についての回答、さらに、「洗い物が溜まっていても、敢えて今日はやらない!と決める」など、マインドを緩めるといった色々な答えがパネリストから出ました。体力もさることながら、メンタルケアも欠かせませんね。
最後のテーマは「子育て後のキャリア」について。第一子が小6で来年卒業を迎えるというパパが締め括ります。
「我が家は、上の子どもが今度の春に小学校を卒業する予定なのですが、一つの区切りだなと実感しています。特に、産まれてきたのが3.11の震災の直後だったので、命の尊さを感じていまして、改めて自分の子どもとして産まれて来てくれたことに感謝する原点に回帰しています。今となっては生意気な口を利いたりもしますが、昔の保育園に預けていた頃の、自分のワイシャツの袖を引っ張られた感触が忘れられなかったりもします」
「私は現在、パパ講師として最近パパになった方達と話す機会も多いのですが、改めて思うのは、ミルクのあげ方や寝かしつけ方法、泣き止ませ方など、色んなパパに色んな方法を聞いて、うまくいったりいかなかったりと、本当にいろんなケースがあって、最終的には『これが答えだ』というのは無いというのが分かりましたね」
「そして、育休を取得したパパが、今後は部下に育休を取得してもらう立場になったり、共働き家庭が主流になる中で、ある程度子育てが一段落したパパが、次のパパやプレパパ達に色々とアドバイスできるように、大げさに言えば、そういった社会が循環していけば良いなと思います。最近はSNSなどの普及もあってか、こうすれば育児は上手くいくという方法論が先行しがちです。ですが、子育ては決してノウハウだけではない、タイミングや個人差で大きく異なるもの、正解は無いということを理解して欲しいです」
「子どもがある程度大きくなると、家族の関係性も変わってきます。子どもが小学生になると、対友達のウェイトが大きくなり、土日も友達同士で遊びに行くことが増えてきます。そうすると、夫婦での時間、自分一人の時間が増えて来るので、改めて自分が何をしていると楽しいのかを振り返ってみるのも良いかもしれませんね」
子どもが大きくなると、夕方に習い事などで出かけて、帰りが遅くなったりすると心配なんですというパパからの意見には、「いつの間にか子供は成長します。信じてあげることです」という一同感心の答えが返ってくる場面もありました。
あっという間の90分。今回のトークのトピックスは様々でしたが、「これからのプレパパ」「育児真っ只中のパパ」「子育てが1周回ったパパ」、時期は違えど、それぞれが現在進行形の旬なテーマです。絶対的な答えを出すことは難しいですが、夫婦でパートナーシップを取り、適度に自分の息抜きもして、地域や職場の人達とも繋がって協力し合い、回り道をしながらも前へ進んでいきましょう!